生徒手帳を職員室に届けてもらったあの日を境に、彼を校舎内で見かける度に目が奪われる日々が続いていた。



でも、目で追うだけじゃない。
芽生えたばかりの恋心は、毎日少しずつ温めながら成長していく。



一年四組 今井 翔くん



接点を持ったあの日から彼の事が知りたくなって自分なりに調べた。


二年生になると、偶然にも彼と同じクラスに。
彼は人の輪の中に飛び込んでいくタイプではなくて、いつも一人で物静かに本を読んでいた。

会話も必要最低限のみ。
授業中の発言くらいしか声が聞けない。



彼は時々物思いにふけるような寂しい目で、窓の向こうの空を眺めていた。
そんな背中を見る度に、いつも何を考えてるんだろうって思ったりして。


一冊の観察日記が完成しちゃうくらい、間近で見つめる日々が続いた。