咲は一晩泣き腫らしてパンパンになっている愛里紗の顔を見た瞬間、目をギョッとさせる。



「愛里紗。顔っ………」

「……寝不足で顔が腫れただけだから気にしないで」



笑って誤魔化したけど、何処か無理していた。



「……あ、うん。今から少し時間ある?愛里紗に大事な話があるから…」

「いいよ」



昨日、谷崎くんと手を繋いで堂々と交際宣言をしてきた咲は、あの瞬間から谷崎くんの彼女という見解に。


咲は高校に入学してから身近な存在だったのに、今回の件で少し距離が生まれたような気がした。
他人事だと思っていた恋の応援は、知らぬ間に他人事ではなくなっている。



愛里紗は無言の咲の背中について歩き、昨日約束していた話をする為に校内の中庭へと場所を移した。