今朝登校してからまだ咲と話していない。

今日からテスト期間内に入って教室内はピリピリしていたし、昨日の咲達は何となく気まずい雰囲気に見えたから声をかけづらかった。




昨日は『明日話そう』って言っていたけど、一体何の話だろう。
私が直接アルバイト先に出向いた事がやっぱり嫌だったから、それについてかな。

それとも、『彼と喧嘩していたけど、実はあの後に仲直りしたよ~』的な話?


でも、彼氏が谷崎くんだと知ったばかりだから、その話ならあまり聞きたくないな。



すっかり心がアンバランスになっている愛里紗は、咲の事を延々と考えて気を落としてる間にテスト終了のチャイムが鳴り、解答用紙は席の後ろから順々に回収されていった。









「起立。………礼」



担任教師の終礼と共に期末テストの初日を終えた。

帰り支度を始めて次々と教室を出て行く生徒達は、まるで閉じ込められていた空間から解放されたかのように安堵の表情を伺わせる。



愛里紗も他生徒と同じく帰り支度をしていると、先に身支度を終えた咲は左肩に学生鞄をぶら下げて横から現れた。