今までは谷崎くんに会いたくて仕方なかった。

神社で別れたあの日からいっぱい泣いたし、いつしか街に戻ってくるんじゃないかと淡い夢を抱いていた。



中学に進学してからは、部活動にも参加せずに神社で一人待ち続けた。
時には空に向かってシャボン玉を吹いて、虹色に輝く球体を眺めたまま恋情に苦しんでいた。
彼が誕生日にくれた鉛筆を全て使い切るまで、毎日恋日記も書き綴った。



谷崎くんと再会したら、『私達、ようやく会えたね』って。
私は元気だったよって。
寂しかったけど頑張って毎日耐えたよって。

お互い涙を流しながら、感動的な再会が出来たらいいなって思ってた。



でも…。
実際は思い描いていたものとは程遠くて。


甘酸っぱいような。
切なくて胸が押し潰されそうな…。
苦しくて息も出来ないような辛い再会だった。


私が長く待ち望んでいた再会と、不意に訪れた現実は、遠くかけ離れたものに過ぎない。



急展開により心狂わされる一日を過ごした私は、谷崎くんと咲の事で頭の中が目一杯になっていたせいか、自分だけを一途に愛してくれる理玖の存在が霞んでいた。