ーーそれは、予想外の展開だった。



話でしか聞いた事のない彼氏が、今さっき再会したばかりの谷崎くんだというのだから。

咲は以前、彼氏はクールな人だと言っていたから、再会した瞬間は谷崎くんが彼氏だと結び付かなかった。



でも、谷崎くんはクールな人なんかじゃない。
愛想はいい方じゃなかったけど、私が上履きを隠された時やカッターで手を怪我をした時は感情を剥き出しにして守ってくれた。



泣いたり笑ったり。
時には怒ったり……。

私からすると感情深い人。
クールな人なんて思った事は一度もない。



だからこそ、聞き間違えかもしれないと思い、我が耳を疑った。



「…………えっ。いま……何て?」

「ここにいる翔くんが私の彼氏なの」


「彼氏っ…て。春から咲とつき……あっ…て…いる」

「うん……。私達、付き合ってるの」



動揺して口をどもらせている愛里紗は、目で真実を訴えてる咲からそう告げられた瞬間、衝撃のあまり言葉を失った。