愛里紗は翔に会えた喜びと、迷惑そうな様子の咲を見るなり、両極端な現況に頭が混乱していた。

何となく居辛い雰囲気になったので席を立った。



ガタッ……



「じゃあ、私。用が済んだし、もう帰ろうかな…」
「待って!愛里紗」



咲はそう言い被せると、口を噤んでいる翔の隣に立って俯いたまま翔の手を握りしめた。



「聞いて、あのね………。彼がいま付き合ってる人なの」

「えっ……」


「名前は今井翔くん。私が中学生の頃から好きな人。………私達、親友なのに紹介するのが遅くなってごめん」



咲はなんの前触れもなく、半年間存在を隠し続けていた翔を愛里紗に自分の彼氏だと明かした。