やっぱりお客さんとしてお店に来た事が迷惑だったかな。
いくら友達とはいえ、一生懸命働いてる姿を人に見られたくないよね。



咲が困惑している姿を見た瞬間はそんな事を考えてた。
でも、本当の理由は別のところに。



「あっ、あのね……。実は木村が英語のノート返し忘れたと言ってたから私が代わりに持って来たの。明日から期末テストだし、ノートがないと困るかと思って。…バイト先にまで来ちゃってごめん。さすがに迷惑だったよね…」

「…ううん。こんな遠い所まで届けてくれてありがとう。私も木村くんにノートを貸しっぱなしにしてた事をすっかり忘れてた」



咲は影を被った顔でそう言うと、先程床に落としたホウキとチリトリを拾い上げてガラス扉の隅に寄せた。