二人は久々の再会に感極まり、およそ20秒程度の無言が続く。
だが、愛里紗の感覚的には1時間くらい経ったかのように長く感じていた。
ーーしかし、そんな時。
チリン……チリン……
「鈴木さん、外掃除終わりました」
「駒井さんお疲れ〜」
外掃除を終えたばかりの咲は、ホウキとチリトリを持ってガラス扉の向こうから店内に戻り、入店時に愛里紗に接客していた女性従業員に一声かけた。
フロアに入ってから、ホウキを片付けようと思って足を奥に進めると……。
見上げた先には、同じく従業員として働いてる翔と、客として来店している愛里紗がお互い無言で見つめ合っていた。
それは、咲にとって最も恐れている展開だった。
愛里紗と翔。
二人が見つめ合う姿が目に飛び込んでくると、ショックのあまりホウキとチリトリを無意識に手放した。
ガシャ…
カターン………
「………っ…愛里紗。どうしてここに…」
咲は顔を真っ青にさせながら悲鳴交じりの声で愛里紗の名前を呼ぶ。
暫く互いを見つめ合ってた愛里紗達だが、咲の声に気を引かれて二人同時に咲に目を向けた。
しかし、咲が愛里紗の名前を呼んだ瞬間、翔は直感が働いた。
ノグと再会したあの日以降に頭の中に思い描いていた相関図は、何となく完成に近付いていく。