だけど……。
手紙は一通も届かなかった。


空っぽのポストの中を一日に何度も覗く度に、谷崎くんは中学校での新生活が忙しいんじゃないかって自分に言い聞かせていて。

孤独感と空虚感に襲われるあまり、まるで何も入っていない空っぽのポストのように、いつしか自分の心も空っぽになってしまって…。


谷崎くんは新しい街へと旅立ってしまったから、この街に取り残された私の事なんてすっかり忘れたんじゃないかなって思ってたよ。






でも……。
あれから、四年八ヶ月経った今。

目の前の大人びた姿が幼かったあの頃の姿と重なって。
それがあまりにも懐かしくて、嬉しくて、待ちわびていた時間が分からなくなってしまうくらいに驚いて、意識が遠退きそうなほど強い感銘を受けた。