両親の離婚により引っ越してしまった谷崎くんと離れていた期間は四年八ヶ月。
私達は成長と共に長い歳月を経て、咲のアルバイト先にて念願の再会を果たした。
「う……そ………」
長年離れていても、当時の面影はしっかり残っている。
彼は紛れもなく谷崎くんだ。
この香り……。
いま久しぶりに思い出したよ。
先日、バスターミナルから駅に向かおうと思って店の前を通り過ぎた時、すぐに思い出せなかった香りの元は谷崎くんだったんだね。
この香りに何かを感じて足を引き止めたのに、谷崎くんだって思い出せなかったよ。
愛里紗と翔がお互い目を合わせた瞬間。
夢ではないかと疑ってしまうような光景に見舞われると、意識を奪われていくかのように開いたままの口が塞がらなくなった。