あれ、またあの香り。

懐かしいような…。
甘く切なくて、何処となく胸を締め付けるような……。



愛里紗は心が惹きつけられるような香りに遭遇すると、香りの元を辿るようにテーブルの隣に立つ男性従業員の方に目を向けた。



すると、隣で仰天するように佇んでいる彼と目と目が合った瞬間。
今までに感じた事のないような、最大級の胸の高鳴りに襲われた。




ドキン……ドキン………




それは…。

それは………。

衝撃的な再会だった。




ゆっくりと見上げた先に立っていたのは、長年恋に焦がれながら待ちわびていた相手。



そう……。
瞬きを忘れてしまうほど目線が貼り付いてしまったその先の人物とは、紛れもなく初恋相手の翔。



会いたくても会えぬまま音信不通だった翔が、いま咲のアルバイト先のイタリアンレストランの従業員の一員として目の前に立っている。




愛里紗は、小学校の卒業式の日以来の翔の姿をこの目に映した瞬間……。

心の奥底でヒッソリと眠っていた何かが弾けた。