「…ハァ…ハァ……」



息を切らしながらも、何とか6分で駅に到着。
交通ICカードを改札でかざして、いつも帰る方向とは逆のプラットホームへ向かう為に階段を駆け上った。

電車が来るまでの間、プラットホーム内をあちこち探し回ったけど咲の姿は見当たらない。



もう、電車に乗って行っちゃったかな。



ホームの時計を確認したら、あと10分で16時。
ここから咲の最寄駅までは乗り換えがあるから約1時間はかかる。
アルバイト先は駅前だから、改札を出てから徒歩1~2分程度。



正直、時間がない。
勤務時間前までに届けられないかもしれない。
明日から期末テストが始まるから、せめてノートだけは今日中に届けてあげないと。



あ、そうだ!
咲の勤務中にお客さんとして入店して直接ノートを手渡そう。


咲は恥ずかしい事を理由に私がアルバイト先に来るのを拒んでたよね。
でも、英語のノートがないと復習に困るだろうから今回は仕方ないよね。

少し恥ずかしい思いをさせてしまうかもしれないけど、咲ならきっと許してくれるよね。