最近、理玖くんの話を幸せそうに語っている愛里紗が羨ましい。
気疲れしてしまっている自分とは対照的に、彼女は充実した日々を送っている。


友達が幸せそうにしてるのは本当に嬉しいんだけど…。
羨まし過ぎるあまり、たまに嫉ましくも感じる。



翔くん…。
一体、いつになったら振り向いてくれるの。
もう半年待ったよ。
私は透明人間じゃないし、人形でもない。

翔くんを初めて好きになったあの日から今日までずっと片想いしてる。



虚しくて、
寂しくて、
苦しいから……。

我慢ばかりの日々に終止符を打ちたいって思っているのに…。



咲は重苦しい空気を打ち破るかのようにすくっと立ち上がり、翔の正面に回り込んだ。



「翔くんの瞳に私は映ってる?」

「……えっ?」


「私は翔くんが好き。告白する前も、した後も、恋人になってからも、今日までずっとずっと……。でも、いつになったら片想いは終わるの?いつになったら私の想いは翔くんに届くの?」

「咲ちゃん、何言って……」



…と、翔が返事を言いかけている最中。
咲は翔の両頬を押さえて強引にキスをした。


勿論、新たな進展に願いを込めて……。





目を閉じる瞬間に覗かせた、驚いた表情の彼。
でも、そんなのお構い無しに唇を重ねた。




………たった3秒。

彼と繋がった時間。




この瞬間は、全身の血が逆流しそうなほど熱いひと時に感じていた。