アルバイト先付近のブランコと砂場とベンチしかない小さな公園に到着。
ベンチに二人並んで腰をかけた。


スローモーションで夜空を囲んでいく雨雲が月光をボンヤリと濁らせ、何処からか聞こえる虫の音が不協和音を鳴り響かせている。



街灯に照らされている彼の表情は今の空模様と同じ。
隣でそんな彼を見ているうちに、自分の表情も自然と暗くなっていった。



「翔くん、最近どうしたの?自分から話そうとしないし、曖昧な返事ばかりだし、『ごめん、聞いてなかった』って言う事が多くて…。何か様子がおかしいよ」



私はここ最近思っていた事を正直に問いかけた。
すると、彼は浮かぬ表情のまま口を開く。



「えっ……。俺、何かおかしいかな?特に気にしてなかったけど」



第三者が見ても明らかに様子がおかしいのに、どうやら彼は自分の変化に気付いていないらしい。