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「店長、お先に失礼します」

「駒井さん、お疲れ~」



レストランの勤務を終えて、私服に着替え終えてから仲間に挨拶した。
先行く翔くんの背中を追うように上着を羽織りながら店を出る。


交際を始めて半年経っても、私は相変わらず彼の背中を追いかけている。



他のアルバイト仲間の姿が見えなくなったところで、彼の後ろから腕にサッと手を絡めた。

彼は無表情のまま首を軽く傾けて横目でチラリ。
少し彼の意識が向いたところを見計らって言った。



「ねぇ、翔くん。少しお茶してから帰らない?」



時刻は21時21分。
時間が遅いしどうしようか迷ったけど、意を決して誘った。

でも、彼は目を背けてフーッと深いため息をつくと無関心気味に口を開く。



「期末テスト前だから、また今度」



私の想いは一向に届かない。
正直、未だに恋人と言えるレベルじゃない。

残念ながら、これが私と彼の距離感。


願いも虚しく、心の距離は近付くどころか最近は遠退いてる気がしてならない。