理玖はどんなに忙しくても毎回塾まで迎えに来てくれる。

結構義理堅い。
でも、それが嬉しかったりもして。



「ほら、肩にかけてる荷物貸して。重そうだから持ってあげる」

「いいよ。自分の荷物くらい自分で持てるって」


「いいから、遠慮すんなって」



理玖は私の肩からひょいと荷物を取り上げてこう言った。



「男がこー言う時は素直に甘えればいいんだよ」



荷物を自分の肩にかけてから、照れ隠しの延長線上で冷たくなっている私の手をギュッと強く握りしめた。


さりげない優しさが女心をくすぐる。
でも、ちょっと照れてるのかな?
かわいい……。



理玖と付き合い始めるまでは一人で夜空を見上げていたけど、やっぱり二人で見上げた方が月が何十倍も輝いて見えるね。