ーー理玖が塾を辞めてから、かれこれ三週間目に突入。
授業開始時刻までの待ち時間は、一人きりで退屈だからスマホをいじって気を紛らわせている。
自分がこんなに無口だったのかなって思うくらい今は静かに過ごしている。
バカみたいに二人ではしゃいでいた夏期講習が、まるで遠い昔のよう。
引き換えになった孤独感は彼の存在の大きさを物語っていた。
夏期講習中に女友達を作っておけば良かった。
なぁんて、地味に後悔したりして…。
理玖が塾を辞めたての頃は、『理玖くん最近塾に来ないね』なんて会話が女子の間で飛び交っていたけど……。
日が経つにつれ噂話が消えていった。
でも、悪い事ばかりじゃない。
「愛里紗〜。おーい!ここだよ、ここー!」
理玖は帰りが遅い私の身を案じて、塾の玄関外の花壇に座って寒そうに身を縮こませながら待ってくれている。