理玖が私を大事にしてくれている事は身を持って知ったけど、君臨していた悪魔は再び笑みを浮かべて私の首を締め上げた。



「誰だって宝物は大事にしておきたいだろ。…ってか、どうして俺が襲うと思ったの?」

「そこのインテリアの信号機が赤から青に点灯したら、理玖の中の信号機も青になって私に襲いかかってくるのかと……」


「アホか!俺ら付き合い始めてからまだ三日しか経ってねーよ。しかも、あの信号機はお前が中学生の頃に足を引っ掛けて壊してから赤しかつかないの」

「じゃあ、一生壊れてていいかも」


「自分で壊しておいてそりゃないだろ…。そろそろ買い直そうと思っていたところだったのに」

「買い直さなくていいよ。新品を買ったら信号がまた青になっちゃうじゃん」


「あのなぁ、ひとごとだと思って……」



理玖はそう言ってハハっと苦笑い。
恥ずかしい思いはしたけど、いつもの調子が戻った瞬間ホッとした。



「残念ながら今はそこまで考えてないよ。俺が欲しいのは身体じゃなくて心の方だから。特に焦ってないよ」



理玖は笑顔で余裕をかますと、いつものように頭をポンポン二回叩いた。



「あ…あはは。そうだよね。…先走ってごめん」



頭をポンポンされた衝撃で気持ちが二段階気持ちが楽になると、暴走していた自分を反省して苦笑いを向けた。