愛里紗はオオカミの香りを嗅いだ瞬間、感情はジェットコースター級の荒波に襲われた。
「あっ……」
理玖は急に力の抜ける声を発して、伏せ目のまま愛里紗に覆いかぶさるように顔を近付ける。
それにより一気に身に危険を感じた愛里紗は、胸の前に手をクロスさせて身体を反らせた。
ドッドッドッドッ………
部屋に到着してから早まっていた鼓動は、彼がおでこにキスした瞬間からヒートアップ。
まるで工事現場で使用されてるドリルのように、早く細かく刻んでいく。
スローモーションのように徐々に近付いて来る彼。
息が触れる度に悪魔の囁きが本領発揮していく。
恋人の第一関門であるキスは二度経験した。
でも、交際三日目で次の段階なんて進展が早過ぎる。
誰かから聞いた話によると、恋人が男女の仲になるには大体三ヶ月くらいかかるって。
でも、私達はまだ交際を始めてからたった三日目。
三ヶ月なんてまだ全然先の話なのに。
…いや、待てよ。
よく考えてみたら交際を始めてから三日目じゃない。
正しくは、再スタートをきってから三日目。
私達は中学の頃に一度交際してたから、二度目の今は別れた期間は短縮されてるって事?
あ〜っ、もう!
訳わかんない。
もう次の段階なんてついていけないよ。