ふぅ、危なかった。

理玖がブレザーを脱いだら一貫の終わり。
『お前も暑いだろ』とか言って、私のブレザーをあっと言う間に引っぺがしちゃうかも。

そして、なんだかんだ言って身ぐるみを剥がされて、いつしか変な空気が流れちゃって、あっと言う間に私のハジメテを……。




いや……。
私達は付き合ってからまだ三日目。
いきなりそれはないな。

学校帰りに咲が変な事を吹き込んでくるから、頭の中の切り替わりが悪くて困っちゃうよ。

はぁ……。
疲れたし、もう忘れよう。



その一方で、愛里紗の思考など知るはずもない理玖は、汗だくな愛里紗の左隣にストンと腰をかけた。
そして、愛里紗の身体から15センチくらいのところに右手をベッドに沈めてニンマリ。



「………お前の事、すげぇ好き」



理玖はそう言い愛里紗の前髪を上げておでこに軽くキスをした。



理玖はいつも通りに気持ちを伝えて軽くキスをしたつもりが、愛里紗は気持ちを切り替えた直後のキスに思わず顔面蒼白に。



残念ながら、隣から漂ってきたのは柔軟剤の香りではなく、一匹のオオカミの香りがしてきた。