しかし、机から何となく目を逸らした瞬間、ふと嫌な妄想が駆け巡った。




はっ、まさか……。
今から私を襲うつもりだからエロ本なんて必要がないって事。
今は私の身体しか興味がないのでは……?



愛里紗の顔は次第にサーッと青ざめていき、ベッドに沈めている両手は震えが止まらない。



自分でも病的なほど考え過ぎだってわかってる。
でも、心の準備も出来ぬままハジメテを奪われるかもしれないと思ったら、心臓が壊れそうになった。



ドックン…… ドックン……



待て待て、一旦落ち着こう。

私達は交際を始めてからまだ三日目。
理玖は昔から大事にしてくれているのに、いきなりハジメテを奪う訳ない。



愛里紗は気持ちを落ち着かせるようにフーッと深く溜息をついていると、理玖は向かいで荷物を床に置き、制服のブレザーを脱ごうとして両手を襟にかけた。

だが、頻りに神経を尖らせている愛里紗はそんな些細な行動ですら過剰反応してしまう。



ままま、まさか…。
今から服を脱ごうとしてるの?
服を脱いでからどうするつもりなの?!
男女二人きりの密室なのに。

やっぱり私のハジメテを奪う為に……。