ところが、デートと言っても30分間手を繋いで世間話をしながらひたすら歩いてるだけ。
未だに目的地に着く様子はない。
日は傾いていく一方。
少し足が疲れた。
しかも、延々と辿って来た道は過去に何度か歩いた事がある。
「…ねぇ、目的地は?」
「そんなのねぇよ」
「えっ?目的地が無いって……。だって、デートでしょ?バカみたいにド派手な部屋の装飾にお金をかけてるから、お金がなくて行き先が決まらないんじゃなくて?」
「……あのさぁ、俺の部屋をそんな風に思ってたの?」
「あれ、違うの?」
一瞬シラけた空気が流れたけど、理玖は照れ臭そうに答えた。
「俺はお前と一緒にいるだけでいいの!制服デートってやつをしたかったの!」
「ふぅ〜ん。そうだったんだ」
「本当は同じ高校の制服を着てデートする予定だったのにな。誰かさんが別の学校に行く事が決まって……な?」
「はいはい、落ちましたよ。あなたが通う高校にね」
痛いところを突かれた愛里紗はホッペを軽く膨らませながらそう言い、不機嫌にそっぽを向く。