母は愛里紗の向かい側のソファに座り、テレビのリモコンを取って電源を落とすと、愛里紗はソファーから起き上がって不満の声を上げる。
「ちょっとー!今いいところだったのに急にテレビを消さないでよ」
「愛里紗!」
「何よ……」
愛里紗は反抗的な目を向けるが、母は呆れたように深い溜息をつく。
「一年生の頃の成績があまり良くなかったから、先日お父さんと話し合ったんだけど…。今回の中間テストの結果が前回よりも伸びていなかったら、塾に通わせる事に決めたから」
「えっ……、塾?」
愛里紗は母親からそう伝えられた瞬間、一気に現実へと引き戻された。
塾って…。
高校受験の時に週四で通ってたから、もうこりごりだと思っていたのに。