長いように感じた三秒間のキスと、ゆっくりと身体が離れた二秒間の間に、彼の気持ちがハッキリ伝わってきた。

彼とは二度目のキスだけど、今は不思議と特別なものを感じている。



『待つよ…。じっくり考えてみて。考えがまとまったら返事が欲しい』



告白をしてきた時は気丈に振る舞っているように見えたけど…。
本当はいつ壊れてもおかしくないほど、待ちくたびれてしまっているんじゃないかとも思った。

彼の気持ちを受け止めたからには、少しずつ応えてあげなければならない。




『理玖くんが愛里紗の彼氏なら安心だし応援したいな』
と言って、恋を応援してくれた咲と。



『理玖くんと新しい恋をした方が自分の為になると思うよ』
と、アドバイスをしてくれた母の言葉を信じて……。



屋上で私達を照らし続けていた夕陽のように、私は彼との未来に光を当てた。


こうして、一度止まってしまった二人の時計は、一年八ヶ月という時を経て再び時を刻み始めた。