目線の先は七〜八人くらいの女子が円になっていた。
しかも、中心人物に順々に語り合いながらこっちへと向かってくる。



な〜んだ。
芸能人じゃなくてただの仲良しグループか。

なんて思いながら、理玖はまだかなと目線を腕時計に目を向けると…。
女子集団の会話の内容が耳に飛び込んできた。



「ねぇねぇ、今からどこ行くの〜?」

「ナイショ」


「私も校内を一緒に回りたい!」

「また今度」


「今度っていつよぉ。いま一緒に回って~」

「あはは。今は忙しいからゴメンね」



一瞬、聞き覚えのある声に意識が吸い込まれた。
軽いタッチの語り口調に聞き覚えのある声。
まさかと思って半信半疑で再び集団の方へと目を向けると……。



「友梨ちゃん。今日も巻き髪が決まってるねぇ。かわいい~!」

「やっだぁ、理玖ったら褒め過ぎ」


「ねぇねぇ。桃菜の髪型は褒めてくれないの?」

「だって、桃菜ちゃんのいいところは髪型だけじゃないし」


「じゃあ、唯香のいいところも教えて~」

「唯香ちゃんのいいところはね……」



そこには、ななな…なんと…。
招待されて遊びに来た私と11時に校門前で約束をしているはずの理玖の姿が。


私を一人で校門前に待たせておいて、自分は両手に花。
理解不能な現状に開いた口が塞がらない。