理玖とは11時に校門前で待ち合わせ。

私服姿で受付を済ませてから校門前に立っていると、学校見学に来ている中学生や、同年代の学生や、生徒の家族等の来場客が次々と横を通り過ぎて行った。


その中にぽつんと一人で待っている、私。
受付で受け取った学園祭の冊子はひと通り目を通した。




現在の時刻は11時9分。
約束の10分前にはスタンバイしていたから、待機時間は実質19分。

賑やかしい他校に一人きりって結構孤独なのに……。



腕時計に穴が開きそうなほど何度も目を通しても、理玖は一向に姿を現さない。



もしかして、約束の場所に来れないような事情があったりして。
怪我をして病院に運ばれたとか?

ううん……。
さすがにそれは大袈裟に考え過ぎかも。


それとも、私が約束の時間を間違えたとか?
でも、SNSメッセージを何度も読み返しても11時に校門前でって書いてあるのに。




遅いよ……。
連絡の一本でも寄越してくれればいいのに。




愛里紗はシュンと気分が落ち込ませていると…。
遠くからキャーキャーと言った一際目立つような女子の黄色い声が耳に入った。

声は徐々に接近。

校内は学園祭で賑わっているけど、一般来場客の声をかき消してしまうほどパワーにありふれている。



愛里紗は芸能人でも来てるのかと思い振り返った。