十月末のある日の昼休み。

気温が20度を上回るほどポカポカ陽気で、日向ぼっこを兼ねて学校の屋上で咲とランチ。

出入口付近の段差に腰を置き、お弁当袋を開けた。



「四時間目の体育が長引いたから、残り時間があまりないね。購買で牛乳買えた?」

「うん、なんとかギリでね。愛里紗んちはお母さんが専業主婦だからいつも手作り弁当で羨ましいよ。うちなんかフルタイムで働いてるから、いつも購買かコンビニでお昼ご飯を買わなきゃいけないし」


「…そうかな。毎日お弁当ばかりで飽きちゃうよ。冷凍食品を使っているからいつも同じようなレパートリーだし」

「こら、そのセリフは聞き捨てならないぞぉ!作ってもらえるだけでも有難いんだから」


「はぁい。咲は学校まで約1時間半かかるから、自分でお弁当作ろうとすると相当早起きしなきゃダメだしね」

「いま6時半出の5時半起きだから…。もし、自分でお弁当を作るとなると5時起きになっちゃう。朝早く起きてお弁当作るくらいなら、まだ寝ていたいよ~」


「あはは、わかる。……うわっ、昼休み終了まであと15分しかない!急いで食べよう」

「うん!」



陽が燦々と降り注ぐ屋上には、人が密集している教室とは違って、ざっと見回しても自分達以外は二組しかいない。

しかも、それぞれ離れた場所でお弁当箱を開いてるから、何言ってるか分からない程度の声しか耳に入って来ない。


だから、先日理玖に告白された件を相談するなら今がチャンスだと思った。