まだ咲には相談していないけど、母親は理玖と接する時間も長くて普段から気にしてくれている分、話が切り出しやすかった。



「実は……、理玖がまた付き合いたいと言ってくれて。…でも、返事をどうしようかなって…。ここ数日迷っていて」

「あら、いいじゃない。お母さん、理玖くんが大好きだからお付き合いは賛成よ」



母は我が物顔でサラリと返事。
個人的に理玖がお気に入りだから賛成なんだろうね。



「ちょっとちょっと~!少しくらい娘の心境を考えてよ」

「悩む事なんて一つもないじゃない。優しくて明るくていい子よ」


「私が迷っている理由は、自分が好きかどうか分からないし、理玖は海外に留学しちゃうから、もし告白を断わったら二度と会えなくなっちゃうんじゃないかと思って」

「理玖くん留学するのね。それは寂しいわ…」



母は理玖が留学すると知った途端、寂しそうに口を塞いだ。