母親は午前中からベッドでゴロゴロしている娘の姿を見るなり溜息をつく。
「はぁ……まったく。朝っぱらからゴロゴロばかりしてないで、勉強でもしなさい」
「もーっ、お母さんったら。ふたこと目には勉強の二文字なんだから。暇じゃないよ、いま考え事してるの。か・ん・が・え・ご・と」
「あんたの事だから、どうせロクな事を考えてないでしょ」
「そうやって私の価値観を決めつけないでよ。簡単に答えが出ないから悩んでいるのに……」
すると母親は、掃除機を部屋の隅に置いて愛里紗が寝転ぶベッドに座った。
「何か悩みがあるのね。お母さんで良ければ話を聞こうか?」
心配気味に問う母に、先日の件を相談するかどうか迷った。
何故なら、ひとりっ子の私にとって母は兄妹のような存在。
中学生の時に理玖と交際していた話や、谷崎くんとの恋の協力をしてもらっていたから。