ここで、もし告白を断わって彼が去ってしまったら……。
もう二度と会えなくなってしまったら。

私自身は後悔しないのかな。



笑えない日々が続いたり、夢にうなされたり、幻影を追い続けたり。
谷崎くんと別れた直後のような現象に見舞われたりしないかな。

理玖と再会する前のような生活を再び送る事が出来るのかな。



いま一つ強く願っているのは、あの時と同じ過ちを繰り返したくないという事。


夏期講習に通い始めてから必ず週三回は理玖と会えてたから、感覚が麻痺しているせいか、彼がいない未来がちっとも思い浮かばない。







大切な人が離れていく寂しさは、経験してるだけに身に染みている。
だから、理玖が留学すると言った時は、また別れを重ねてしまうんだと思ってショックを受けた。


でも、これが恋なのかな。
それとも、大切な人が傍からいなくなってしまう寂しさなのか、正直わからない。



愛里紗は横になりながら窓の方を見て小さくうずくまっていると……。


コンコン…
ガチャ……



「愛里紗~。今から掃除機かけるわよ~」



母親が掃除機を持って部屋の扉を開けた。