二人を照らしている月夜は、時にかくれんぼをしてるかのように雲に身を潜めている。
時間を忘れるほど真剣に向き合ったのは、今日が初めて。



「お前が日々変化をしていくうちに恋心が芽生えていた。恋人として受け入れてくれてからは笑顔も増えてきて、気持ちの整理がついたのかなって思ってたけど、実際は平行線だった。特に二人きりの時そう感じたから」

「………理玖」



「だけど、諦める気なんて更々なくて。積み重ねてきた思い出や、送り続けていたSNSメッセージや、素直に伝えてきた気持ちが無意味じゃないと願っていたから卒業式の日に賭けた。……そして待った。お前からの連絡を……」

「えっ……」


「あの時は強引にキスしたから正直嫌われたと思った。高校生に進学してからも連絡がないから諦めようとしたけど、日を追う毎にお前の代わりになる奴なんていないと思い知ったよ。……バカだよな、お前じゃなきゃ意味がないのに」



私達は自然消滅したと思っていたけど、そうじゃない。

私は理玖の気持ちに目を逸らしたまま都合のいいように解釈していた。
向き合おうとはせずに、ただ逃げてただけ。