敢えて言葉にしなくても、背中から直に伝わる胸の鼓動と、力強く抱きしめている腕が全てを物語っている。
「お前のそーゆー表情とか仕草とか…。我慢してても、理性…保てなくなるから……」
「………っ」
「好きだ。昔も今もお前の事が……」
理玖がストレート球しか投げないのは、一途に思い続けていてくれたから。
今も昔も…。
理玖が私…を?
暗闇の隙間から覗かせる月明かりが、愛里紗達二人を照らしている。
これは恋なのか…。
それとも、傍からいなくなる寂しさなのか。
身体が拒もうとしないから、余計自分の気持ちが分からない。
震える頬に熱い涙が伝う。
涙を止めるように強く噛み締めた唇は切れそうになって、痛くて……。
しきりに涙が流れてくるから、頭が締め付けられるようにガンガンする。
だけど、これだけは確か。
自信を持って言える。
彼を想って、私は泣いた。