冗談じゃなかったとしても、塾を辞める事を大袈裟に考え過ぎ。
もう二度と会えなくなる訳じゃないし。
塾には一人で行って一人で帰るだけ。
暗い夜道を静かに真っ直ぐ歩いて帰る。
特別なことじゃないし、何て事はない。
街灯に灯された二つの影が、たった一つになるだけ。
ただ、塾の帰りに会えなくなるだけ。
それだけなんだよ…。
でも、何でかな…。
自分でもよくワカンナイ。
小さく湧き立ち始めた胸のザワメキは収まりがつかない。
残念だけど……。
今の私は偽物の笑顔が作れない。
小学生の頃、谷崎くんとの辛い別れを経験しているだけに、素直に割り切る事が出来ない。