平穏な日々にピリオドが打たれた瞬間、愛里紗は目の前が真っ暗に。



夏季講習が始まったあの日に、理玖と二度目の再会。

最初は気まずさのあまり逃げる事ばかりを考えていたけど、毎日のように顔を合わせているうちに自然と距離が縮まっていた。

それは、笑顔を生み出してくれた時間でもあり、心が安らぐ時間でもあった。



夏季講習が終わってからも、理玖と一緒に塾に通えたから、時間がどんなに遅くても寂しくなかった。

でも、理玖が塾を辞めたら今日まで少しずつ重ねてきた何かが失ってしまうような気がしてならない。



愛里紗はショックを受けると、ぶ厚い氷で覆われてしまったかのように身動き一つ取れない。




もしかして、私の驚く顔が見たくて冗談を言ってるの?

反応を見て楽しんでるんでしょ。
『バカだな、本気にしちゃって』とか、いつもみたいに意地悪を言うんでしょ。



真に受けてしまっているけど、この前咲に『理玖くんとなら応援したいな』って言われたばかりだから、過剰に意識してるだけなのかもしれない。