理玖とは卒業式の日から音信不通だったせいもあって、何とも言えぬような空気に包まれた。


だが、お互いの目線は離さない。


自然消滅後の一年振りの再会。
正直どんな顔で接したらいいか分からないから、早くこの場から立ち去りたかった。



「ごめんっ!荷物ありがとう…」



愛里紗は理玖から荷物を奪い取ると、ザザッと乱雑にカバンの中に放り込む。

勢いよく立ち上がって、逃げるように立ち去ろうとして背中を向けた瞬間、理玖はすかさず大きな手で愛里紗の手首を掴んだ。



「…………っ!」



愛里紗は驚きざまに振り返ると、理玖はムスッと不機嫌な眼差しを向ける。



「お前は全然変わってない」



そう言うと、少し苛立ったように背中を向けてホームへと向かって行った。

それは、衝撃的な再会を迎えてから2分もかからない短い出来事だった。



『お前は全然変わってない』って…。
一体どーゆー事?



この時は、理玖の言葉の奥にどんな意味が隠されているのかわからなかった。
だけど、何故か心の中でやまびこのようにこだましていた。