だが、咲は突然ふと何かが思い立ったかのように布団からガバッと勢いよく身体を起こした後、愛里紗の方へ振り返って何かを期待するような笑みを向けた。
「愛里紗と理玖くん、今すっごくイイ感じじゃない?また付き合ってみたら?私、理玖くんとなら応援したいな」
「……え、私が理玖とまた付き合う?一度別れたのに?」
「うんうん。二人とも波長が合うし、理玖くんカッコいいし。凄くお似合いだと思う」
咲に言われるまで理玖とヨリを戻そうと思った事は無かった。
だから、いまいちピンとこない。
「仲が良くても付き合うとなればまた話は別なような…」
「理玖くんとなら上手くいくよ!絶対…。理玖くん、愛里紗のおばさんとも仲が良さそうだし、何より愛里紗自身が楽しそう」
興奮気味にキッパリとそう言い切った咲は、理玖との未来に期待をしている。
私…、理玖と一緒にいると楽しそう?
疑問に思いながらも頭の片隅で思った。
確かに咲の言う通り、夏期講習で再会してから自分の事ばかりじゃなくて理玖の事も考えるようになった。
今は友達として傍にいてくれるけど、もし彼女が出来たら?
以前と同じように二度と会わなくなっちゃうのかな。
今みたいな楽しい時間を捨てなきゃいけなくなっちゃうのかな。
もしそうだとしたら、理玖と再会する前と同じような生活を送る事が出来るのかな。
最近は一緒に過ごす時間が長くなっていたから、なんかちょっと自信がないかも…。