冷やかな目線を送り続けている愛里紗に対し、つまらないギャグで暴走してしまった理玖は、残念な事に一人で腹を抱えて笑っている。


本当にどうしようもない。
普段は優しい咲だって、正直『バカだな』って思ってるに違いない。



「ひーっ…ひーっ……。で、彼氏の名字は今井って分かったけど、下の名前は何て言うの?」

「えっ!名前?!……ええっと、………それは………」

「もう!理玖ったら、咲を笑わそうと思ってまた変な事を考えてるんでしょ。完全にお見通しだよ。勉強の邪魔だからもうその話はやめて早く自分の家に帰って。それが嫌ならあっち行って。シッシッ」



「随分俺に冷たくない?家まで届け物をして、お前が帰って来るまでずっと一人で留守番していたのに。あっさり追い出そうとするなんて酷いね。……な、咲ちゃん?」

「うっ……。じゃあ、勉強の邪魔にならないように口を塞いでて」

「…あははっ」



理玖はぷうっとホッペを膨らませてスネた様子を見せたが、腰を上げる素振りすら見せない。