愛里紗と咲が勉強を始めると、手持ち無沙汰になった理玖はいつものノリで咲に問いかけた。
「ねぇねぇ。咲ちゃんって、いま付き合ってる奴いるの?」
そう言って、咲の顔を覗き込むように顔を斜めに傾けてニンマリと微笑む。
すると、咲はひょんな問いかけをした理玖に目を向ける。
あー、キタ。
予感的中。
その手の質問絶対すると思った。
理玖は咲を狙ってるのかな。
咲は可愛いから男子なら好きになっちゃうよね。
さっきから咲にちょっかいばかり出してるし。
なによ…。
私には座布団すら出してくれなかったくせに。
この部屋の主の私を透明人間扱いにして、たまたま居合わせた咲にばっかり話しかけて。
こんな所で無駄話してないで、さっさと家に帰ればいいのに。
「あっ…あ、うん」
「へーっ。彼氏の名前は?」
「……あっ…い、今井…くんって言うの」
「今井って言うんだぁ。今井くん、ちょっと今いいかい……なんつってな。今井、委員会いまいいかい。あはは…やっべー、早口言葉にもなるぞ。おい、聞いたか愛里紗?」
「それって…、渾身のギャグのつもりなの?あんたの為を思ってハッキリ言うけど、ソレつまらないよ」
「あは…あははは。り…理玖くんって、結構面白いんだね」
咲だってそのつまらないギャグにドン引きしてるよ。
そんなに暇なら、早く家に帰って自分の部屋のド派手なインテリアでもいじってればいいのに。