柔軟剤どころか誕生日ケーキすら手作りしちゃうほど女子力の高い理玖の母親を頭に思い浮かべて、目を細めてウンウンと軽く頷きながらふと床に目をやると……。
あると思われる物が目の前に置かれていなかった。



ないっ。
ないない…ないっ!

私の分のザザザ…ザブトンがない!
私が座るはずの席には何も敷いてない。



咲には学習机のイスから取り出した座布団を、まるでお姫様を扱うように丁寧に敷き…。

私達の間に割り込むように居座る理玖は、ベッドから取ったクッションに座った。

それなのに、この部屋の主の私には何もないなんて……。




咲には座布団があって、私には無い。
咲にはあって…、私には……。



もしかして、この部屋の優先順位として…。

①咲 ②理玖 ③私



この部屋の主である私はまさかの③番目。
たかが座布団一つで大騒ぎをするような、話じゃないんだけど…。
納得いかないし、何か悔しい。




愛里紗は正面で二人が仲良さそうに会話を楽しんでいる中、固いカーペットを見て不服に思いながらも渋々床に腰を下ろした。