ーー翌日。

咲とはテスト勉強を兼ねて泊まりに来る約束をしていたので、学校帰りにそのまま一緒に自宅へ。



咲はバイトを始めてから以前ほど頻繁に泊まりに来なくなった。
最後に泊まりに来たのは私の八月の誕生日の時。
その前は彼氏と付き合う前。



…そう、思い出した。

確かあの日は、私と同じ髪型にしたいって言われて咲の髪を結ってあげたっけ。
ドレッサーの鏡に映る姿を見ていたら、仲の良い姉妹みたいだなって思ったよ。

しかもその日の夕方に彼氏に告白をしに行ったんだよね。
今でもしっかり覚えてる。





愛里紗達は自宅に到着して、いつも通りにインターフォンを鳴らした。



ピンポーン…


「ただいま!お母さん。咲を連れて来たよ」



インターフォンのマイクに向かってそう言い、咲と並んで母親が出てくるのを扉の前で待ち構えた。

すると……。


ガチャ…


「おっかえり〜!遅ぇよ、ずっと待ってたのに」



玄関扉の向こうから出て来たのは母親じゃない。
何故か家に上がり込んでいる理玖が、帰宅したばかりの私達を出迎えた。



「ビッ……クリ…したぁ〜」



愛里紗は母親が扉の向こうから出て来るものだと思い込んでいたから、予想外の理玖の登場に驚く。