「アイラちゃんってさ、超かわいくて性格が良いし。付き合ったら友達にめっちゃ自慢できるね」

「ええっ、うそぉ!それなら……」


「……だけど俺、今はその時期じゃないんだ。付き合えなくてゴメンね!」



理玖は彼女の気持ちを大事にしながらやんわりと断わると、彼女の頭をポンポンと二回軽く叩いた。
私は胸をドキドキさせながらその様子を再び本棚の奥から見守っていた。


彼女はフェイントがかかった返事に一瞬期待を寄せていたけど、ポンポンされた途端みるみるうちに赤面していく。

見ている側まで、本気で好きなんだな~と伝わってくる。



「その時期が来たら私と付き合ってね。絶対だからね~!」



理玖はうんともすんとも言わずに、にこやかに手を振って校舎へと戻って行った。


取り残されてた彼女は泣いていないし、仕方ないなといった表情で腕を組み深いため息をつく。

まるで自分事のように一部始終を見ていた私は、理玖という人物が少しずつ解明されていった。