ーー制服のブレザーの中にカーディガンを挟むようになった、ある日の事。


放課後、一階の図書室へ借りていた本の返却に行った。

来たついでに別の本を借りようと思って、窓際の腰までの高さの本棚前でしゃがみながら本を選んでいると…。
頭上の窓から人の話し声が降り注いできた。



窓の向こうは畑。
誰かが畑作業に来たのかなと思い、何となく窓の向こうを覗いてみると、そこには理玖と知らない女子の姿が。

女子はソワソワした様子で落ち着きがなく、現場はこれから告白が始まりそうな雰囲気に。



まさか、自分の彼氏の告白現場に偶然居合わせるとは…。
壁を挟んだ向こう側に自分が居る事がバレたらまずいと思い、その場になだれ込むように身を隠した。



不幸中の幸いで図書室には自分以外三人しかいない。

だけど、その三人中の三人が、物静かな図書室内で音を立てて身を隠す一人うるさい私を白い目でじーっと見ている。

……まぁ、本人達にバレなきゃいい。



理玖の告白現場は遠目から見た事はあったけど、声が聞こえるほどの至近距離は今日が初めて。


一度気になると、とことん気になる。
まるで探偵のように本棚からゆっくりと顔をあげて告白現場を覗き見。

自分でもいけないと思いつつも好奇心には勝てない。