卒業式後、教室で最後のお別れをした後に理玖は教室から出ていく私を追うようにして廊下に出ると……。
待機していた同級生や在校生に気付かれてしまい、あっと言う間に囲まれた。


めげずに探そうとしたけど、自由に身動きが取れぬままいつしか姿を見失ってしまったようで…。


制服ボタン目当ての女子達が勝手に次々と自分の前に並び始めたので、仕方なく順番に一つずつボタンをちぎって渡した。



ところが、最終的にボタンの数が足りないという事になり、並んでいた女子達がボタン一つで激しい口論に発展。
最終的に強引にボタンが引きちぎられるという、最悪の事態を生む結果に。


更にボタンを手にする事が出来なかった一人一人と写真撮影。
廊下でかなりの時間の足止めを食らってしまう。



当時彼女だった私に第二ボタンを手渡す為に、校舎内を探し回ったがなかなか見つからない。

校門でようやく発見すると、別れを惜しんでいた友達から引き離して私の手を握りしめて屋上前の階段まで連れて行き、予め一つだけ取っておいた制服の第二ボタンをポケットから出して私に手渡した。



当時の私は、ボタンを引きちぎられた話までは何となく聞いたけど、まさかそこまで苦労を重ねていたとは……。



当時のモテっぷりは今でも健在なのかな。
だけど、あの当時は校内にいる私を必死に探し回っていたなんて、ちっとも知らなかったよ。