ガタッ……
「聞いてらんない。あんた…、愛里紗の気持ちを知りながら告白するなんて最低だよ」
ノグは咲の話に腹立たしさを覚えると、キツく睨みながら席を立った。
だが、顔面蒼白の咲はすかさずノグの腕を掴み、帰らせまいと足を引き止める。
「お願い!ノグちゃん。私の話を最後まで聞いて欲しいの」
咲は今日を逃したら後がないと思い、最大限の力を振り絞りながらノグに思いを伝えた。
「翔くんに思いを寄せてたのは愛里紗だけじゃない!私もずっと…、ずっとずっと翔くんが好きだったの」
頬に涙を滴らせて懇願する咲。
ノグの腕にはギュウッと力が加わっていく。
ノグは咲の切実な思いが届くと、気持ちを抑えて渋々と席に着いた。