「コレ見てもいい?」
同じ高校に通う親友 咲がピンッと指をさした先は、昨日から机の上に開きっぱなしにしている小学校の卒業アルバム。
今日は学校帰りに泊まりに来ていて、ベッドに腰を下ろした際にたまたま目線の先のアルバムが目についた様子。
「…見てもいいけど、ちょっと恥ずかしいなぁ」
「大丈夫、大丈夫!……で、愛里紗は何組だったの?」
「もー、他人事だと思って。二組だよ。六年二組」
咲はアルバムを中央テーブルに置いてから床に座ってアルバムのページをパラパラとめくる。
「あったあった!江東 愛里紗。これだっ」
咲は幼い頃の私の個人写真を見つけると笑みを浮かべた。
「うわー、愛里紗は昔から全っ然変わってないね!そのまんま」
「おかしいなぁ。その頃から比べるとセクシーになってるはず」
「待って~!どの辺がセクシーになったのぉ〜?私に言ってごらん」
「もう、やめてよぉ」
仲が良い私達はアルバムを見ながらキャーキャーとふざけてじゃれ合い、たわいもない話を続けた。
ーーしかし、この瞬間から私の運命の歯車が狂い始めていた。
いや…。
正しくは、自分の知らないずっと昔から運命の歯車は少しずつ噛み合わなくなっていた。