久しぶりに学校で会った咲は、朝から元気がない。
夏休みの話題を面白おかしく話しても、話が耳に入っていないような空返事ばかり。

時々、フーッと声が漏れそうなほど深い溜息をつく。



先生が教卓に立っても、手元のシャープペンをクルクルと回して集中力がなさそうだから、恐らく話は耳に入っていないだろう。



愛里紗は授業の合間の休憩時間に元気がない原因を探る事に。



「どうしたの?今日は元気がないよ。もしかして彼と何かあった?それとも両親の事?また喧嘩したの?」

「あっ…、ううん。何でもない」


「何かあったらいつでも相談にのるからね。遠慮なく何でも話して」

「うん、ありがとう」



該当しそうな要因をいくつか挙げてみたものの、当てはまるものは一つもない。

語ろうとしない様子からすると、何となく話したくないのではないかと思って追求しない事にした。