お互い再会が嬉しくて話したい事は山ほどあるが、旧友の翔とノグの間に蚊帳の外状態にある咲を挟んだこの状況が、淡々と話している二人の口を無意識に塞いだ。


咲はずっと青い顔のまま。
顔を上げようとしないし、固く結んだ口はさっきのひとこと以外喋ろうとしない。



四年半近くになって、突然ノグの目の前に姿を現した翔。
そして、先ほど翔の彼女だと伝えてきた咲。



長年愛里紗が恋い焦がれていた翔がいま自分の目の前にいる状況下だが、翔の隣にいるのは愛里紗じゃなくて咲。



ノグは世の中に不平等さを感じながらも、愛里紗の過去を思い知っている分、場の雰囲気に耐えられなくなってしまい、膝裏に椅子を押し当てて席を立った。