愛里紗は緊張のあまり小刻みに身体を震わせながら反射的にクイッと顔を反らすと、理玖はフッと笑った。



「……冗談だよ、バーカ」



理玖は身体を離して、身構えている愛里紗に対してケタケタと笑った。



えっ…、冗談?
一瞬、本気でキスをしてくるかと思った。
冗談と言いつつも目がマジだったような気がするけど…。



「もー、やめてよ!」



愛里紗は安堵するあまり、ホッペを膨らませながら理玖をグーで軽く叩いた。
理玖は愛里紗のムキになる姿を見て、降参ポーズを取って笑う。




でも、理玖が私にキスしようとした瞬間、忘れていたあの頃の事を思い出した。

あれは、中学校の卒業式の日…。
卒業式を終えた後、私達は屋上手前の階段でファーストキスをした。