愛里紗はネックレスを何度も首元に当ててご機嫌な様子を見せていた。
可愛らしい笑顔を目の当たりにすると、理玖は横から口を挟む。
「ねぇ。愛里紗って、いま付き合ってる奴いるの?」
「今はいないよ〜」
愛里紗はネックレスに気を奪われているせいか、何も考えずに返事をした。
「プレゼント、そんなに気に入ったの?」
「うん、もちろん!」
すると、理玖は身体を前のめりにして、愛里紗の顔の10センチ手前まで顔を接近させる。
「じゃあ、プレゼントのお礼はキスでいいよ」
「えっ…」
愛里紗の胸はドキンと鳴った。
徐々に理玖の香りが届いていき、唇はゆっくりと接近していく。
触れる気配。
届く息。
むず痒い唇の感触。
僅かに乱れる平常心。
突然我が身に降りかかったアクシデントに、理性が追い付かない。
うそっ…。
ネックレスのお礼が、キキキ……キス?!
どうしよう…。
これは夢じゃない。
勿論、お礼としてキスをするつもりはないけど、唇にはリアルに生温かい息がかかってくる。
身体が揺れ動くくらい心臓がバクバクしてるから、今にも壊れてしまいそう……。