一見ふざけてばかりのように見えるけど、理玖は案外しっかりしている。
何も見つからないままボンヤリしている私と、見つからなかった後の事を見据えている理玖とでは大きく違う。
偉いな…。
私も頑張らないと。
愛里紗は、理玖の隣で沈み行く夕陽を眺めながら言った。
「今日は夕陽がキレイ」
「俺もいま同じ事思った」
一年前に二人で見た光景を、一年後に再び一緒に見る事になるなんて思いもしなかった。
あの頃と少し違うのは、お互いの肩の高さが変わった事。
理玖……。
会わない間に少しだけ背が伸びたね。
彼とは卒業を機に自然消滅しちゃったけど…。
肩を並べて一緒に家路へと向かっている今は、高い壁に阻まれていたあの頃よりも一歩先を歩けているような気がする。